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        最高人民法院盗難事件の怪

      国際的にも有名な女優、範氷氷の脱税疑惑を暴露したことでも知られる中央テレビの元キャスター、

    崔永元氏が2018年12月26日深夜に、最高人民法院が扱ったある民事裁判の関係書類が盗まれていた

    ことを、微博で明らかにしました。最高人民法院は当初、根拠のない噂話として否定していましたが、崔

    氏が29日に、盗まれたとされる書類の一部画像を公開したことを受け、盗難が事実であると認め、調査

    を約束しました。

     この盗難事件が大きな注目を集めているのは、それがたんにひとつの民事裁判というわけではなく、

    この10年余りのあいだ折に触れ、経済界、司法関係者などの注目を集めてきた疑惑の塊のような裁判

    だったからです。

 

 

      始まった? 民営企業の国有化

            2018年9月11日に、呉小平というあまり知られていない人物の論文がネット上に公表されると、大変な

         注目を集め、瞬く間に拡散しただけでなく、大論争を引き起こしました。彼の論文タイトルは、「私営経済は

    すでに公有経済の発展に貢献し終えたので、徐々に退場すべきである」というものでした。要するに、中国

    の私営企業はその役割を終えたから今後は廃止していくべきだ、と主張していたのです。

     この主張を実証するかのように、国内の証券市場では上場されている民営企業の株が、次々と国によっ

    て買収される事案が発生しています。はたして、民営企業の国有化は本当に始まったのでしょうか?

         中国企業の定款変更問題

        2017年3月15日に、中国共産党の中央組織部と国務院国有資産監督管理委員会党委員会は合同で、

      「企業党組織建設活動の要求を会社定款に明記することを強力に推進するについての通知」を出し、

     会社法によって株式会社に改組された中央企業の定款変更を実施しています。しかしその内容は、これ

     まで進めてきた国有企業改革の方針を、根本から覆すものにほかなりません。

                   民法総則が全人代で成立

         2017年3月に開催された第12期全国人民代表大会第5回会議は、民法総則の草案に

        ついて審議した後、15日に採択、公布し、同年10月1日から施行する、と発表しました。

        11章207条だった草案は、最終的に1条減って、11章206条となりました。

 

 

                 法治主義に背を向ける習政権

          習近平政権はその成立後、胡錦濤政権2期目の周永康中央政法委員会書記のもとで

                 崩壊した司法体制を再建するため、法治主義の回復と司法制度改革に強い意欲を示して

                 きました。

                   しかしその一方で、習政権の政治体制それ自身は、これまで法治主義の前提とされてい

                た法治国家とはまったく正反対の方向へと転換しており、著しく矛盾する関係を生み出して

                います。

​ 

 

                                中国の司法改革

 

                            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           

                            

 

                                                    周強最高人民法院院長

 

 

                      2013年11月に開催された、中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議は、「改革を

        全面的に深化させるいくつかの重大問題についての決定」を採択し、そのなかで司法改革

        についても、重要な方針を提起しました。

          これより前、最高人民法院は、「司法の公正性を強化し、信頼性を絶えず向上させること

        により、人民のための司法を実践するについてのいくつかの意見」を通知し、上海、江蘇、浙

        江、広東などいくつかの地方で、改革の実験を始めることを明らかにしています。

         中国の司法改革は、これまでも挑戦と挫折の歴史を繰り返しています。今回の挑戦ははた

        して、これまでの挫折を乗り越えることができるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

                 特集 周永康・薄熙来問題

 

 

                             周永康と薄熙来の事件を生み出した中国の政治構造とは?

                       中国の法治主義を崩壊へと導いたふたりの権力者に共通するものとは?

                    この事件を克服して、中国は再び法治主義への道を歩みだすことができるか?

                                                                                            

 

 

 

 

 

 

 

                                             周永康被告に無期懲役の判決
   
                    2015年6月11日に、周永康・前中央政法委員会書記の第1審裁判を審理していた

                      天津市第1中級人民法院は、同被告に対し、無期懲役の判決を言い渡しました。

 

 

 

                                      烏坎村に衝撃 林主任に実刑判決

          2016年9月8日、広東省仏山市禅城区人民法院は、収賄容疑などで起訴されていた烏坎村の

         林祖恋村民委員会主任について公判を開き、有罪判決を言い渡しました。

          法廷で林主任は、収賄以外の起訴事実を否認したほかは罪を認め、判決に対しても控訴しない

         意思を表明しました。

                   【続報】

           第2審判決が10月20日午前、仏山市中級人民法院で言い渡されましたが、その内容は第1審   

​          判決と同じだったそうです。

 

                         検察官の前で罪状を認める林主任

 

 

 

                         奚暁明最高人民法院副院長に無期懲役

                   2017年2月16日に新華社などが伝えたところによれば、同日、天津市第2中級人民法院は

       奚暁明元最高人民法院副院長の収賄事件について、1996年から2015年までの在職期間中に

       おける総額1億余りの収賄を認め、無期懲役、終身の政治的権利剥奪、すべての個人財産の

       没収という判決を下したということです。奚元副院長は罪を悔い、控訴はしない意向を表明した

       と伝えられています。

        奚元副院長に、いったい何があったのでしょうか?

                                                           

 

            注目のトピック    

 

 

             ・夏勇国務院法制弁公室副主任が免職に

                           ・恒大淘宝、東風日産に賠償金支払いへ

 

                           ・浦志強弁護士に有罪判決

 

                           ・薄熙来夫人が無期懲役に減刑されました

 

             ・広州恒大ACL優勝も、契約違反で批判の嵐

 

                           ・日本人4人がスパイ容疑で拘束される

 

             ・浦志強弁護士、ついに起訴

 

                           ・浦志強弁護士事件、検察が公安に差し戻し

 

                           ・烏坎村で再び騒動が

 

                           ・嵐を呼ぶ独禁法、日本企業も標的に

 

                           ・最高人民法院が環境資源裁判廷を設立

 

                           ・最高人民法院が裁判官を公募

 

                           ・労働矯正制度が廃止に

 

                           ・司法改革が再始動?

 

                               ・・・

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朝日新聞「紅の党」の盗用問題
    朝日新聞には2012年6月から、「紅の党」という、中国共産党をテーマとした連載記事が掲載されていますが、余り知られていない情報を多く含んでいることが評判になり、朝日新聞の取材力を評価する感想も少なくなかったようです。

    しかし、その冒頭を飾った第1回目の記事(「『皇帝になる』 ―― 主席接待で台頭」、6月23日付朝刊)は、その主要な部分を占める特ダネ情報の大半が、既存の評論文から盗用した内容だったのです。

NHKスペシャル 中国激動

 「空前の農民大移住」

 

 NHK 総合 2013年10月6日(日) 

           午後9時00分~9時49分          

 

 「中国から消える農村 ―― 集団所有制解体への道のり」が映像に

 
2版.jpg

  【改定版の刊行】

  『入門中国法』の第2版がまもなく刊行されます。

 民法総則など初版以降の新しい立法に対応。

 習近平政権と法治主義の微妙な関係にも触れています。

 

     発売:2019年10月15日   定価:2,900円+税

 

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