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注目のトピック 続き

 

 

 

 

・労働矯正制度が廃止に

 

 2013年12月28日に開催された第12期全人代常務委員会第6回会議は、労働矯正制度について定めていた関連の法律を廃止し、同日をもって処分を受けているものをすべて釈放することを決定しました。

 これによって、繰り返し批判を受けながら、60年近く運用されてきた同制度は、ついにその幕を閉じることになりました。

 

 

・司法改革が再始動?

 

 最高人民法院は、2013年10月28日に記者会見をおこない、「司法の公正性を強化し、信頼性を絶えず向上させることにより、人民のための司法を実践するについてのいくつかの意見」を、各法院に通知したことを明らかにしました。

 上記「意見」は、周強最高人民法院院長体制のもとで、最初に通知された重要文書という意味で、「第1号文書」とも呼ばれているようですが、その内容はきわめて重要な司法改革の方針を提示している、として注目を集めています。肖揚元院長の退任後に停滞した司法改革が、再び始動するのでしょうか?

                                                                                             

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・死刑判決は慎重に!

 

 2013年10月14日に始まった、第6回全国刑事裁判活動会議で、周強最高人民法院院長は、「徹底して冤罪、誤審を予防し、是正するためには、最高の水準を堅持し、死刑は厳しく抑制し、慎重に適用しなければならない」と、指摘しました。

 もともと中国は、「死刑はできるだけ少なく」という方針を掲げながら、その実態として、死刑が最も多い国として知られています。3月に就任したばかりの周強院長の発言が、本当に死刑の抑制を求めたものなのか、注目されるところです。

 

 

・司法機関のトップ人事が決定

 

 2013年3月15日に開催された第12期全人代第1回会議で、周強・前湖南省党委員会書記が、最高人民法院院長に選任されました。同時に選ばれた最高人民検察院検察長は、曹建明検察長が留任しました。この体制は、人脈的にみると、第9、10期全人代期間中の肖揚院長時代を継承するもののように見えます。

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・茅台と五糧液に独禁法違反で罰金

 

 2013年2月22日、貴州省の物価局と四川省の発展改革委員会は、茅台販売有限会社と五糧液酒類販売有限責任会社とに対して、再販売価格維持行為による独占禁止法違反で、それぞれ2.47億元、2.02億元の罰金を科したことを明らかにしました。

 これは2008年に独占禁止法が施行されて以来、最高の罰金額となりました。

 

 

・最高人民法院、6名の教授を任命 

 

 2013年1月15日の『新京報』が伝えたところによれば、最高人民法院はこのほど、6名の教授を副廷長などに任命し、14日にその歓迎会が開催されたとのことです。6名はいずれも48~50歳で、これから2年間、研究職と掛け持ちで、少なくとも周に2日は法院の業務に従事するということです。

 以下に、その6名の現職、専門と、任命されたポストをご紹介します。

 蘆建平 北京師範大学教授 刑法 刑事裁判廷副廷長

 姚 輝 中国人民大学教授 民法 民事裁判廷副廷長

 薛剛凌 中国政法大学学院長 行政法 行政裁判廷副廷長

 郭 鋒 中央財経大学法学院長 商法 研究室副主任

 卓澤淵 中央党校研究生院院長 法理学 司法改革弁公室副主任

 李曙光 中国政法大学教授 司法制度 法学研究所副所長

 

 

・労働矯正制度、年内に運用停止に

 

 2013年1月7日に開催された全国政法工作テレビ電話会議で、孟建柱中央政法委員会書記は、全人代常務委員会の承認を得たのち、年内に労働矯正〔労動教養〕制度の運用を停止する、と明らかにしました。

 人権保護の面で内外から厳しい批判を浴び続けている労働矯正制度ですが、改革に向けてようやくその一歩を踏み出せるのか、関心を集めています。

 ただし、これを伝えるニュースなどには、労働矯正制度が廃止されるかのように説明しているものも見かけますが、そうではありません。現在この問題については、「違法行為矯正法」という新しい法律の草案が準備されており、これの立法をもって新制度に移行する、という計画なのです。したがって、新法の内容が現行の制度とどれくらい違ったものになるかが、注目されるところです。

 

 

・労働契約法改正で同一労働同一報酬の原則を明記

 

 2012年12月に開催された第11期全人代常務委員会第30回会議で、労働契約法の改正草案が審議され、採択されました。

 同草案では、第2条に「同一労働同一報酬」の原則が規定されていましたが、採択された条文では、第63条に規定されています。また、派遣労働についても、補充的な雇用形態であることが明記され、一時的、補助的、代替的な雇用に限るとの制限が付されています。

 

 

・刑事訴訟法改正に隠し玉?

 

 2012年3月の改正では、被告人の弁護権を強化したと評価された刑事訴訟法ですが、意外な問題が発覚し、話題になっています。

 現在、最高人民法院はこの法改正に合わせて、前回の改正後(1998年)に発布した司法解釈の改正作業に入っていますが、このほどその内容がネット上に流出し、明らかになってしまいました。ところがそのなかに、弁護士が法廷の秩序を乱す行為をおこなった場合、厳重に処罰するとの規定があったため、じつはこちらの方が本当の法改正の狙いだったのではないかという指摘がなされ、議論が沸騰しています。

 この司法解釈はまだ草案の段階で、現在は各法院関係者から意見を集めているところですので、最終的にどのような内容になるか注目されます。

 

 

・非公有制企業における党組織強化についての指示が出ました

 

 2012年5月24日の新華社電によると、党中央弁公庁が、「非公有制企業における党建設工作を強化し改善するについての意見」(試行)を通知したとのことです。

 「意見」は、非公有制企業の党組織も、国有企業と同じく「政治的中核」としての役割を果たすように求めており、具体的には党組織の書記、副書記が、労働組合の主席、副主席を兼任するよう指示しています。

 当面は、従業員が50名以上の企業が対象とされていますが、外資系企業もこれに含まれていますので、今後何らかの対応を求められる可能性があると予想されます。

 

 

・独占行為に対する民事訴訟についての司法解釈が出ました

 

 2012年5月8日、最高人民法院は「独占行為による民事紛争の審理に適用すべき法律のいくつかの問題についての規定」を公布しました(2012年6月1日施行)。独占禁止法第50条は、独占行為により権利侵害を受けた市民が、民事訴訟を提起することを認めていますが、本規定はこれについて詳細に定めた、初めての司法解釈となります。

 すでに、市民が独占行為に対し民事訴訟を提起した事例はいくつか報告されていますが、本規定の公布により、そうした訴訟が増加するものと予想されます。

 

 

・最高人民法院が指導性案例を公布しました

 

 2011年12月20日に最高人民法院は、指導性案例として4つの案例を通知しました。これは2010年11月15日に、最高人民法院が採択した「案例指導活動についての規定」にもとづく最初の指導性案例ということになり、規定の公布から1年を経て、ようやく指導性案例制度がスタートすることになります。

 

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・司法試験に裏口?

 

 2011年11月15日、インターネット上に司法試験の裏口制度を告発する書き込みがあり、これを『羊城晩報』がスクープ として報道したことから、衝撃的なニュースとして話題を集めています。 〔小司考〕(小さな司法試験)と俗称されるこの制度は、司法試験合格の資格を持たない、検察、法院機関の在職者を対象にしたもので、法律にも規定があり、裏口というわけではありませんが、関係者以外にはあまり知られていません。おりしも中国では、統一司法試験実施の時期に重なっていたため、そんな制度があったのかと、あらためて注目されたようです。

 

 

・違法な土地の収用に警告

 

 2011年9月9日、最高人民法院は、「土地収用、家屋立退きの強制執行による悪質事件の発生を断固として防止するについての緊急通知」を公布しました。

 これは、近年、土地の収用や立ち退きなどの強制執行をめぐって、これに抗議する市民や農民の行動が過激化し、暴力行為や自殺などを招いている現状を憂慮し、各地の人民法院に対して、市民の権利を保護するため、強制執行についての審査を厳格化し、違法な執行を認めないよう、注意を喚起したものです。

 

 

・刑事訴訟法の改正草案が公表されました

 

 2011年8月末、刑事訴訟法の改正草案が、パブリック・コメント募集のため公表されました。刑事訴訟法は1979年に制定されたのち、1996年に改正されていますので、今回改正が実現すると、ほぼ15年の間隔をあけて、2度目の改正ということになります。

 草案の説明にもあるように、主に7つの問題について改正が提案されていますが、なかでも弁護権の保障がもっとも注目される点と見られています。

 パブリック・コメントの募集は9月いっぱい実施されます。

 

 

・中国高速鉄道事故の賠償金

 

 2011年7月29日、新華社電は、7月23日に温州市で起きた高速鉄道事故の死亡者に対する賠償金が、当初提示されていた50万元から91.5万元へと増額された、と伝えました。信号機の故障で立ち往生していた列車に後続列車が衝突して、200名余りの死傷者を出した悲惨な事故の犠牲者に対する賠償金としては低すぎる、という批判が高まっていたこともあり、この賠償金引き上げは、世論の鎮静化を狙ったものと受け取られています。

 しかしその理由は、違約責任に対する賠償から、不法行為に対する損害賠償へと、請求内容が変更されたためと説明されており、たんにどんぶり勘定で増額されたわけではありません。 

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・マイクロソフト、「覇王条項」で敗訴

 

 2011年7月6日、北京市第一中級人民法院は、Windows XPの使用許諾契約を、「覇王条項」に該当し無効だと訴えた市民の主張について、これを認める判決を下しました。

 河南省在住の市民は、購入したWindows XPをインストールする際、同意を求められる「許可協議」と「補充協議」のなかの一部条項は、消費者に一方的な不利益をもたらす「覇王条項」に該当し、無効であるとして、マイクロソフト社を訴えていましたが、このほど法院はこの訴えを認め、契約条項の一部を無効とする判決を下しました。

 

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・各地で騒乱相次ぐ

 

 2011年6月になって、中国の各地で大規模な騒乱が発生しています。内蒙古自治区シリンゴル盟の騒乱以降、湖北省利川市、広東省の潮州市、増城市のほか、河南省鄭州市や湖南省長沙市などで、数百人から数千人の群衆を巻き込む騒乱が、数日間にわたって続き、治安部隊の出動を招く事態に発展しています。

 騒動のきっかけはさまざまですが、いずれの場合も社会に蓄積した不満が、これらの事件をきっかけに爆発したもので、そうした不満が共通する地域は至る所にあり同じような騒乱は、中国のどこでも起きる可能性があります。

 

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・酒酔い運転の取り締まり、対応で混乱

 

 2011年5月1日から、修正された刑法が施行されたため、酒酔い運転の取り締まりが強化されました。新しい刑法の規定で、酒酔い運転は起訴され、拘役刑に処せられることになったのですが、すべての酒酔い運転を起訴すべきか否かについて、法院と検察、公安との間で法解釈が対立するという、困ったことになっています。

 公安は施行にあたって、すべての酒酔い運転を起訴する方針でしたが、5月10日に最高人民法院の張軍副院長が、必ずしもすべて起訴する必要はないとの見解を表明したため、議論が百出する事態になっていました。5月23日に最高人民検察院のスポークスマン、白泉民弁公庁主任が、すべて起訴するべきとの見解を公表したため、法院と検察との見解が真っ向から対立する状況になってしまいましたが、この混乱はしばらく続きそうです。

 

 

・個人所得税法改正案のパブ・コメ、記録更新

 

 2011年4月末の第11期全人代常務委員会第20回会議で審議された、個人所得税法の改正案が25日、パブリック・コメントの募集手続きを開始しましたが、初日だけで10万件余りの意見が寄せられ、国民の関心の高さが証明されました。5月31日の最日までに23万件余りの意見が寄せられ、2006年に労働契約法草案が記録した19万

件の最多記録を更新しました。

 改正案は低所得者の税負担を引き下げる一方、高所得者については引き上げるなど、所得格差縮小を目指す内容となっています。寄せられた意見を参考に修正を加た草案が、6月下旬の常務委員会会議で審議される予定です。

 

 

・刑法修正案が採択されました

 

 2011年2月25日の第11期全人代常務委員会第19回会議で、刑法修正案(八)が採択されました。今回の修正では、刑法制定以来はじめてとなる、死刑を含む罪名が減らされることに注目が集まっていましたが、13の罪名について死刑の適用がなくなり、死刑を含む罪名が68から55に減ることになりました。また、75歳以上の被告には、残忍な殺人罪の場合を除いて、死刑が適用されないという、新しい規定が設けられました。

 話題になっていた酒酔い運転にも、一律に拘役刑が適用されることになりました。

 

 

・立退き条例の改正草案が採択、公布されました

 

 2010年12月に、前例のない2度目のパブリック・コメント募集をおこなった立退き条例草案は、同月30日に募集が締め切られ、この結果を受けて修正された草案が、2011年1月19日に開催された国務院常務会議で採択、公布されました。

 2007年の物権法制定以来、改正が急務となりながら、成り行きが危ぶまれていましたが、ようやく決着を見ました。しかし、この法改正によって、立ち退き問題は改善されることになるのでしょうか。

 

 

・立退き条例の改正草案が再度パブリック・コメント募集に

 

 2010年2月に、パブリック・コメントの募集をおこない、その結果が注目されていた立退き条例の改正草案が、さらに修正され、前例のない2度目のパブリック・コメント募集手続きに入ることになりました。

 注目されていた「公共の目的」の範囲については、第1次改正草案で排除されていた「経済発展」が、第2次草案では復活しており、早くも“後退”したとして、厳しい批判を集めています。

 

 

・知財紛争で55%は外国側が勝訴

 

  2010年12月2日、北京市第1中級人民法院は、2006年~2010年10月までのほぼ5年間における、渉外知財紛争案件の処理状況を公表しました。

 これによると、渉外案件の総数は2691件で、知財紛争全体の28.4%を占め、2006年に241件だった件数は、2010年には1367件と5倍以上の伸びを示した、ということです。このうち、外国側が勝訴した件数は55.2%を占め、外国側が得た賠償額は総額4800万元にのぼるそうです。

 これを公表した北京市第1中級人民法院は、この成果は中国における知的財産権保護に対する外国側の不信感を解消するであろう、とコメントしています。

 

 

・住民委員会の改革について新しい通知が出ました

 

  2010年11月、中共中央と国務院弁公庁は合同で、「都市社区住民委員会の建設活動を強化し改善するについての意見」を、全国の関係機関に通知しました。

 住民委員会について定めた現行の都市住民委員会組織法は1989年に改正されたものですが、2004年にはこれを改正する草案が作成されたものの、その後はお蔵入りになっていました。村民委員会組織法の改正が実現したことを受けて、再度改正作業をすすめる指針を示したものと思われます。

 「村改居」政策* との関係で、受け皿になる方の住民委員会がどう改正されるかは、きわめて注目されるところです。

 

 

・渉外民事関係法律適用法などの法律が成立しました

 

2010年10月に開催された第11期全人代常務委員会第16回会議で、渉外民事関係法律適用法、社会保険法が新たに採択され、人民代表大会の代表について定めた代表法と村民委員会組織法の改正案が承認されました。

 渉外民事関係法律適用法は、2002年の全人代常務委員会会議で審議された、民法典草案の第9編に収められていたものです。不法行為法に続いて同法が成立したことにより、草案9編のうち、第1編の総則と第4編の人格権法を除く部分が、個別に立法されたことになりました。

 

 

・北京市で闇監獄が摘発されました

 

 2010年9月24日の『南方都市報』によれば、北京市公安局が、安元鼎警備会社の会長と社長を拘束したとのことです。この警備会社は、いくつかの地方政府と契約し、北京に陳情に訪れた市民を拉致して、市内数ヵ所に設けた闇監獄に収容していた容疑が明らかとなっています。

 このような警備会社は、ほかにも存在するものとみられており、今後の捜査によって、どこまで実態が解明されるか、注目されます。

 

 

・労働争議の処理に関する3番目の司法解釈が出ました

 

 最高人民法院は、2010年7月12日に採択した、「労働争議案件の審理に適用する法律のいくつかの問題についての解釈(三)」を、9月13日付で公布し、14日から施行しました。これは2001年4月の「解釈」、2006年8月の「解釈(二)」に続く、3番目の司法解釈となります。 

 また最高人民法院は、2009年7月6日に、「現在の情勢下で労働争議紛争案件の審判活動を適切におこなうための指導意見」も出しており、これらの文献から、急増する労働争議の対応に追われている実情を、うかがうことができます。

 

 

・国務院がM&Aを促進する意見を出しました

 

 2010年9月6日、国務院は「企業の合併再編を促進するについての意見」を、関係機関に通知しました。ここで政府は、産業構造の最適化をすすめ、中国企業の国際的競争力を強化するため、自動車、鉄鋼、セメントなど重要産業を中心に、企業規模の拡大、集中化を促進する考えを強調しています。

 こうしたM&Aに対する中国政府の取組み強化策は、外資に対しても一定の影響を及ぼさざるをえないと見られており、今後の動向が注目されます。

 

 

・人民調停法が採択されました

 

 2010年7月の1ヵ月間、パブリック・コメントを募集していた人民調停法の草案が、8月下旬に開催された第11期全人代常務委員会第16回会議で審議のうえ、採択されました。

 中国では民事紛争の大半を処理しているといわれる人民調停が、建国以来はじめて法律によって制度化され、長年来争点となっていた、調停協議の法的効力についても、ようやく決着がついたことになります。

 

 

・外資系企業紛争処理についての司法解釈が公布されました

 

 2009年11月に、パブリック・コメントを求めるため草案が公表されていた最高人民法院の司法解釈、「外商投資企業紛争案件処理におけるいくつかの問題についての規定(一)」が、2010年8月5日付けで公布され、8月16日から施行されることになりました。

 行政機関による認可以前の契約の効力を認定する基準など、これまで解釈面で明確でなかったいくつかの問題点について、最高人民法院の見解が明確にされるなど、重要な内容を含んでいます。

 

 

・陝西省国土資源庁が判決を拒否

 

西省楡林市横山県にある炭鉱の採掘権をめぐる紛争で、同省国土資源庁が採掘権の変更を許可した手続きは違法であるとの判決が、2007年に同省高級人民法院から出されていました。この炭鉱はもともと村民の集団所有に属していましたが、2000年に山東省の住民に採掘権が変更されていたのです。

 同判決の執行を求める元所有者たちに対し、2010年3月1日、国土資源庁は専門家を含めた協議会を開催したうえ、その結論として、判決には従わないと通知しました。これを不服とする村民と炭鉱側とのあいだで、7月17日には集団抗争が発生し、100名近くが負傷するという騒ぎに発展しました。

 協議会には、高級人民法院の担当裁判官も出席していたことが明らかとなり、行政による “法廷外裁判” であるとの批判が高まっています。

 

 

・賃金条例が立法へ

 

 2010年7月28日の『第一財経日報』によれば、2008年から起草作業が進められていた賃金条例の草案がこのほど完成し、政府関係部門に報告されることになったそうです。

 近年、急激に上昇を続けている中国の労働賃金ですが、労働争議がストライキに発展するなど過激化する傾向もみられるなかで、その動向が注目されていた賃金条例が、いよいよ立法の最終段階に入りました。関係部門の意見徴集を経て、パブリック・コメントを募集する手続きをとるため、まもなく草案が公表されることになるようです。

 報道によれば、最低賃金を各地の消費者物価指数にスライドさせたり、公益関連産業の賃金を規制するなどの内容が盛り込まれているようです。

 

 

・死刑の罪を減らした刑法改正案が審議へ

 

 1979年に制定されて以来、7度の小刻みな改正を経てきた刑法が、8度目の改正に向けて準備に入りました。今回の改正案では、死刑を適用される罪が、はじめて減らされることになる点が、とりわけ大きな注目を集めています。

 刑法は制定当初、死刑になる罪は28でしたが、1983年の犯罪撲滅闘争を契機に法改正のたびに増加を続け、1997年に現在の68まで増えました。今回もし減ることになれば、はじめて減少に転ずることになります。注目の改正草案は、順調にいけば、8月の全人代常務委員会に提出されるようです。

 

 

 

・北京大学法学院の指導部が交代しました

 

 北京大学法学院では最近、一部教授から学院長に対する辞任要求などが出され、紛糾していましたが、2010年5月末の会議で、学院長など指導部の交代を決定しました。新しい指導部には、税法の張守文教授が学院長に任命されたほか、昨年末「立ち退き条例」の改正について、全人代常務委員会に意見書を提出して注目された、沈岿教授と王錫鋅教授も副学院長に任命されました。

 朱蘇力前学院長は、事実上解任されたものとみられていますが、果たして今回の措置によって、長く続いてきた法学院の混乱は,収束に向かうことができるでしょうか。

 

 

・人民調停法草案が公表されました

 

 2010年6月下旬の第11期全人代常務委員会第15回会議で審議された人民調停法草案が、パブリック・コメントを求めるため、7月1日に公表されました。

 調停の合意は法的効力をもつ、と明記されましたが、強制執行に至るにはいくつかのハードルが設けられています。調停が違法なものでないか、当事者が法院に確認を求めることができるとした第30条も含め、全体として法院のバック・アップを必要とする内容になっているのが特徴です。

 パブリック・コメントの締め切りは7月31日。この後、どのような修正が加えられるか、大いに注目されます。

 

 

・人民調停法草案が全人代常務委員会の審議に付されることになりました

 

 2009年4月から国務院法制弁公室で修正作業が続けられていた人民調停法の草案が、2010年5月5日の国務院常務会議で原則採択され、さらに一部を修正のうえ、全人代常務委員会に審議のため、提出されることになりました。

 中国の民事紛争解決に幅広く利用されながら、統一的な法律をもたない人民調停制度について、はじめての法律となる人民調停法が、ようやく立法の最終段階に入ることになりました。注目される調停の法的効力について、どのような規定になるかは、まだ明らかにされていませんが、2010年末には成立が見込まれています。

 

 

・国家賠償法草案から注目の条文が削除されました

 

 2008年10月にパブリック・コメントを求めるための草案が公表された後も、難航している国家賠償法の改正作業ですが、2010年4月末の第11期全人代常務委員会第14回会議で、4回目の審議がおこなわれました。2009年10月の3回目の審議に提出された草案では、拘留、逮捕後に起訴が見送られ、釈放された場合に、賠償を求める権利を認める条文が追加されて、注目を集めましたが、今回の審議に提出された草案では、この規定が削除されたことが明らかになりました。

 

 

・最高法院が死刑判決控訴審の公判化について、新しい指示を出しました

 

  2010年3月に最高人民法院は、「死刑判決を受けた被告が控訴せず、共犯の被告または付帯民事訴訟の原告が控訴した案件について、いかなる手続きを適用して審理すべきかについての回答」を出し、被告本人が控訴していない死刑判決の第2審手続きについて、共犯者から控訴が提起されれば、死刑判決を受けた被告全員について、公判審理をおこなうよう指示しました。

 

 

・選挙法が改正され、1票の格差が解消されました

 

2010年3月14日の第11期全国人民代表大会第3回会議で、選挙法の改正案が採択され、注目を集めた1票の格差が解消されることになりました。

 中国ではこれまで、都市部の選挙区と農村部の選挙区とのあいだに4:1という格差が設けられていましたが、今回の法改正によって、建国以来はじめて選挙権の平等が実現することになりました。

 

 

・立退き条例の改正草案が公表されました

 

 北京大学の教授たちが、憲法違反と訴える意見書を提出するなどして注目を集めていた立退き条例の改正問題について、国務院法制弁公室が改正草案を公表し、2月12日までの予定でパブリック・コメントを募集することになりました。

 問題となっていた「公共の利益」の範囲について明確な規定を置くなど、これまでの批判を意識した内容になっていますが、今後の改正作業の中で、どのような修正が加えられていくか、注目されます。

 

 

・合議廷改革について最高人民法院が新しい規定を公布しました

 

最高人民法院は2010年1月、「合議廷の職責をさらに強化するについてのいくつかの規定」を公布しました。注目されるのは、重大、複雑な事件などの場合、従来からあった裁判委員会の討議にゆだねる選択に加え、関係する裁判官を加えた共同討議という選択が新たに加えられたことです。

 近年の合議廷改革は、合議廷の自立性を高める方向で進められてきましたが、今回の規定はその方向を修正するものかもしれません。

 

 

・不法行為法が第4回目の審議を経て、採択されました

 

  2009年12月に開催された第11期全国人民代表大会常務委員会第12回会議で、不法行為法草案についての4回目の審議が行われました。パブリック・コメントを求めるために公表された第3次審議稿に、これらの意見を取り入れて修正した草案が提出され、審議の結果、さらに修正を加えて、26日に採択されました。

  当初は、2010年3月の全人代会議で採択されるとみられていましたが、意外にも常務委員会会議での成立となりました。立法権にかんする憲法の規定と、契約法、物権法がいずれも全人代で採択されている事実を踏まえると、常務委員会での採択は問題を残すことになったかもしれません。なぜこのような手続きがとられたのか注目し、検証してみる必要がありそうです。

 

 

・村民委員会組織法の改正草案が、公表されました

 

  2009年12月に開催された第11期全国人民代表大会常務委員会第12回会議で、村民委員会組織法の改正草案が審議され、パブリック・コメントを求めるために公表されることになりました。

 村民委員会の役員選挙について、その村の戸籍を持たない場合にも、1年以上居住していれば選挙権を与えるという規定が、新たに追加されています。しかし、このような内容は、現在改正審議中の選挙法には規定されていません。村民委員会の選挙に限って認める、ということなのでしょうか。

 

 

・立退き条例は憲法違反?

 

  2009年12月7日、北京大学法学院の学者5名が、2001年に国務院が制定した、都市家屋立退き管理条例は、憲法、物権法、不動産管理法に違反するとして、これを改正するよう求める意見書を、全人代常務委員会に提出しました。近年、立ち退き問題をめぐって集団的抗争が各地で頻発しているのは、同条例が憲法、法律に違反し、市民の権利を保護していないためだ、と主張しています。

 同条例の改正を担当する国務院法制弁公室は、12月16日に、上記5名の学者を含む専門家9名を集め、改正案の検討会を開催しました。政府側の素早い対応にも驚かされますが、はたして意見書の主張に応えるような改正が実現するか、注目されます。

 

 

・外資系企業の紛争処理について、司法解釈の草案が公表されました

 

  2009年11月23日、最高人民法院は、「外商投資企業紛争案件処理におけるいくつかの問題についての規定(一)」(意見徴集稿)を公表しました。これは現在、この種の紛争が増加するいっぽう、関連する法律の規定が非常に複雑化しているため、司法の判断にブレが生じている問題を解消しようというものです。最高人民法院とし

ては各界からの意見をもとにこの草案を修正し、明確な統一基準を作成したいということのようです。

 

 

・選挙法の改正について審議が行われました

 

  2009年10月に開催された第11期全国人民代表大会常務委員会第11回会議では、選挙法の改正についても草案が提出され、第1回目の審議が行われました。

 中国の選挙法では、これまで都市部の選挙区と農村部の選挙区とで代表選出に4:1という格差が設けられ、都市部ではより多くの代表を選出してきましたが、今回の草案はこれを改め、1票が平等になるよう規定されています。この改正が実現すれば、中国の選挙制度にとって歴史的な改革になることは間違いありません。 

 

 

・最高人民法院が〔告状難〕を解消するための通知を出しました

 

 市民が国の機関を訴える行政訴訟を、中国では俗に〔民告官〕と呼んでいますが、この〔民告官〕は容易に訴えが受理されないため、〔告状難〕と表現されています。不正な行政行為などに対する司法的救済が機能しないため、近年は〔群体性事件〕などと呼ばれる集団的な騒動が増加、大規模化しており、社会不安を引き起こす要因となっています。このほど最高人民法院は、〔告状難〕を解消することにより、市民の訴える権利を保護するための通知を出しました。しかし、〔告状難〕は国家権力内部の力関係によってもたらされている問題ですから、この通知だけで解消できるわけではないように思われます。

 

 

・検察制度についての書籍が多数出版されました

 

  最近、改革・開放30周年や建国60周年をテーマとする本の出版が盛んですが、中国検察出版社から、紀念検察機関回復重建三十周年系列叢書シリーズ8冊と共和国検察60周年叢書シリーズ6冊が、相次いで刊行されました。

 これまで、検察制度にかんする歴史資料や研究文献は、他の分野に比較して少なめでしたが、これらの書籍はそうした状況をあらためるきっかけになるかもしれません。

 

 

・最高人民法院が、事情変更の原則について指導意見を出しました

 

 2009年7月に最高人民法院は、「当面の経済情勢下で民商事契約紛争案件を審理する際のいくつかの問題についての指導意見」を通知しました。このなかで最高人民法院は、4月に出された「『契約法』を適用する際のいくつかの問題についての解釈(二)」に示された事情変更の原則を適用する際の基準を、さらに具体的に示しています。 事情変更の原則は、契約法制定の際に一度草案に明記されたことがありますが、その濫用を危惧する反対意見に押されて、削除された経緯があります。今回の指導意見は、国際的な金融危機に対処するためと説明されていますが、今後の運用を注視していく必要がありそうです。

 

 

・国有株比率を引き下げるための新しい政策が、実施されました

 

 2009年6月に財政部などは「国内証券市場の国有株を社会保障基金に充当するための実施弁法」を公布し、国有株流通化改革策定後に新規上場した会社は、公開発行株数の10%を、全国社会保障基金理事会に譲渡しなければならないと規定しました。

 国有株流通化改革は2001年に1度失敗した後、2005年から再開されていました。今回の措置は、その後に上場した企業を対象にしたものですが、これまでの政策と異なり、国が10%という国有株比率の引き下げ目標を義務付けている点が特徴ですが、これによって容易に引き下げられない国有株比率を効果的に引き下げることができるか、極めて注目されます。

 

 

 

 

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