中国法入門
田中信行研究室
中国法について知ろう
中国各地に美女軍団出現
活動の様子を伝える広州のテレビ
・美女の正体は?
最近、中国各地の都市に続々と美女軍団が出現し、話題となっています。ネットでは「美しすぎる警官」という画像が流出したりして、「逮捕されたい」などという書き込みが相次ぐ始末。もっとも、実際に流出した画像は、本当に中国の警察官なのか確認されていないものもあるようです。
ですが、美女軍団の出現は間違いなく、新華社の報道などでも紹介されています。そこで、彼女らの正体を調べてみると、2種類のグループに分けられるようです。
まずひとつは、公安(警察)に所属するグループです。こちらはおもに、治安管理や交通安全などの業務を担当しているようです。もうひとつは公安ではなく、都市管理総合執法局などと称する、都市の安全管理を担当する組織に所属するグループです。
彼女らに共通するのは、確かに美人が多いという点のほか、従来にはないデザインの制服に身を包み、市民に対しては笑顔で接しているという、これまでの中国にはあまり見られなかった特徴を備えているところでしょうか。グループに違いはあるものの、彼女らの採用にあたっては、若さ、容姿端麗のみならず、高い学識、教養も要求されているということですから、文字通り彩色兼備の集団ということになるでしょう。
・キーワードは〔柔性執法〕
それではなぜ、このような美女軍団が組織されるようになったのか、という理由ですが、そのキーワードは〔柔性執法〕です。〔柔性執法〕とは、法の執行はソフトに、ということですが、もちろん柔軟にといっても、賄賂もOK、というような意味ではありません。
これは従来の市民に対する対応が、こわもての上から目線、ものも言わせぬ命令口調で行われてきたことを反省し、基本的には笑顔で優しく、穏やかに話をしましょう、という態度に改めよう、という方針のもとに導入されたものです。この新しい政策は、都市管理新政〔城管新政〕、都市管理革命〔城管革命〕などと呼ばれ、2011年夏ごろから各都市で実施されています。
このような政策転換は、近年、全国の都市で社会騒乱が続出し、大規模化していることを踏まえ、とりわけ土地収用、強制立ち退きなどにかかわる行政の違法行為を厳しく取り締まろうという、「法治政府」建設の動き、あるいは大公安体制の見直し、といった政策と、軌を一にするものにほかなりません。
・指導機関の名称変更
こうした施策の実施にあたり、党は2011年8月に、都市の治安管理問題を担当してきた中央社会治安総合管理委員会〔中央社会治安综合治理委员会〕を、中央社会総合管理委員会〔中央社会管理综合治理委员会〕に改称しました。これは名称を変更しただけでなく、公安を中心とした旧委員会の体制から、社会管理にかかわる関係機関がすべて参加する体制への転換を意図したものです。従来の中央社会治安総合管理委員会は、中央政法委員会の付属機関のような存在でしたが、その点でも、独立した委員会に昇格したと言えるのかもしれません。
以上のことから、都市の治安管理体制に一定の改革が実施されたことは間違いありませんが、これで問題は解決するのでしょうか。市民としては優しい笑顔より、市民の権利を真剣に保護してほしいわけですから、こんなことが一体何の役に立つかと言いたいところではないでしょうか。
えっ、美女の笑顔に騙されてみたい? ・・・
こちらは広東省の交通警察 ちょっとコワイかも
こちらは成都市の警備隊 笑顔で優しく
靴はローラー・シューズ!
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最高人民法院
2015年6月11日に、第1審判決を受けた周永康
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